食品用容器中のビスフェノールAについて

ビスフェノールAはポリカーボネート樹脂の原料として使用される化学物質です。ポリカーボネート樹脂はボトルや缶の内側のコーティング剤として1960年代より使用されており、 ボトルとして使用した場合は透明で丈夫であり、コーティング剤としては錆や金属の溶出を防止するため利便性が良いことで知られています。
しかし、ビスフェノールAは女性ホルモンと同様の作用を示すことがわかっており、また、食品容器中から食品へ溶出することから、その安全性について懸念されています。

ただし、安全性については現在でも結論が出ていないため、もしくは、結論付けの元となるデータが国ごとに異なるために、国によって、規制内容が異なります。その一方で、妊娠中の女性や乳幼児向けの食品容器についてはビスフェノールAを原料に用いないものに変更するという製造業界の動きは一致しているようです。

ビスフェノールAのアメリカ国内での規制について

ビスフェノールAを含む食品中に移行する可能性のある全ての物質は食品接触物質または間接食品添加物として、FDAの認可を受ける必要があります。
FDAの認可を受けるためには安全性を証明する必要があります。食品接触物質の安全性の評価は食品への移行分についての累積曝露量、包装成分、許容曝露量の3点で評価しています。ビスフェノールAの評価は既に完了しており、FDAの認可を受けています。ちなみに日本では食品衛生法により、ポリカーボネート樹脂からの溶出量に規制が設けられています。また、フランスでは2015年1月よりビスフェノールAを原料に含む全ての食品容器の製造、輸出入が禁止されています。

ビスフェノールAの安全性について

多くの容器包装にはBPAが使用されており、それらは極少量ではあるものの食品に移行しています。 そのため国民は極めて少量のBPAを摂取していることになりますが、アメリカ国立毒性研究センターの調査結果では少量のBPA摂取については健康への影響はないと結論しています。
しかし、科学論文の中にはそのような少量のBPAでも人体に影響を及ぼす可能性が示唆されており、検証試験は現在も続けられています。