未成年者への禁煙教育

 タバコ喫煙が抱える問題は「市場からなるべく排除する。」、「未成年者にはタバコを吸わせない」という点では日本もアメリカも共通していると言えます。そして、喫煙率は年々、低下傾向にあります。また、2009年には家庭内喫煙予防・タバコ規制法が成立、たばこ規制に関するFDAの権限が大幅に強化されました。

 2014年2月、FDAは上記の権限を盾にたばこ規制をさらに強化すべく、国民的教育プログラム"The Real Cost"キャンペーンを開始しました。このキャンペーンの特徴はテレビ、ラジオ、ソーシャルメディア、街頭広告などあらゆるメディアを通して、しかも1年以上の長期に渡ってタバコのネガティブ・ネガティブキャンペーンを行っていくという徹底ぶりにあります。"The Real Cost"キャンペーンは青少年の喫煙予防のためのキャンペーンで、青少年の喫煙予防のためにここまで大がかりのキャンペーンを展開するのはFDAとしてはこれが初めてです。

 

"The Real Cost"TVコマーシャル

"The Real Cost"TVコマーシャルより「あなたの歯」と「あなたの肌」。なかなかシュールです。

「あなたの歯」
男子「タバコ、1箱ちょうだい。」
店員「(お金が)足りないよ。」
男子(歯をペンチで抜いて店員に差し出す。)
店員(タバコを男子に渡す。)
ナレーター「Q:タバコの代償は?A:あなたの歯です。」
ナレーター「タバコは歯周病の原因となり、歯を失うことにつながります。」
店員「また、どうぞ。」
ナレーター「タバコの代償は何ですか?」

「あなたの肌」
女子「タバコ、1箱ちょうだい。」
店員「(お金が)あと少し足りないわ。」
女子(肌をちぎって店員に差し出す。)
店員(タバコを女子に渡す。)
ナレーター「Q:タバコの代償は?A:あなたのなめらかな肌です。」
ナレーター「タバコはしわの原因となり、老化を早めます。」
店員「また、どうぞ。」
ナレーター「タバコの代償は何ですか?」

日本の事情

 日本では「たばこ事業法」によりたばこの製造・販売については合法化されています。管轄は財務省です。タバコは国税の全体の2%を占める税収源の1つです。たばこ産業は法律によって、保護されています。
(情報源:日本たばこ産業株式会社(JT)ホームページ
なお、「たばこ事業法」により、たばこの製造は日本たばこ産業株式会社のみが認められています。販売については輸入品販売、国内品販売(小売販売、JTより仕入)ともに財務省の登録または許可を受けなければなりません。

その一方で厚生省は公衆衛生上の観点から「たばこによる疾病・死亡の低減」のために、たばこが及ぼす健康へのリスクをより国民に浸透させるべく働きかけています。(※健康日本21:健康増進法に基づく国民の健康づくりの施策 による。)

上記の目標の達成指標として、厚生省は「喫煙率半減」をスローガンに掲げています。なお、JTは喫煙率に目標値を設定することについて、嗜好品であるたばこに国家権力が介入して、個人の判断を特定の方向に向けさせるものとして反対しています。(喫煙の有無はそのリスクを承知の上で個人で判断すべきもの。)

なお、未成年者の喫煙防止については法律(未成年者喫煙禁止法)によって定められていることもあり、厚生省、JTともに喫煙防止の方向で見解が一致しています。(ただし、この法律が制定された背景は明らかでないため、見解は一致していても、その解釈には相違があるものと考えられる。)